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病院におけるEDPS—電子計算機を中心とした外来医療事務について
江川 寛
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1慶応義塾大学医学部病院管理学教室
pp.83-91
発行日 1965年4月1日
Published Date 1965/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202560
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医学医術の進歩に伴い,病院は診療部門とともに,診療補助部門や事務部門に複雑性を加えてくることは自明である。しかも医療産業の中の企業体として病院を跳めた場合には,各部門は有機的な結合下にコンビナートを形成しているとみることができ,診療部門に対して均衡のとれた体制が要求されてくるはずである。特に事務部門は病院諸業務に対する集約的な地位にあって管理上の重要な役割を演じているので,分掌権限の明確な組織体系の元に,能率的な業務がすすめられることが期待されている。しかし実態はどうであろうか。
病院合理化のひとつの方向として,医療事務の諸作業を集中化し専門化してゆくこと1),2)は結構であるが,個々の作業内容や諸票の手続系路の実情,病院の将来の計画にもとづく事務機構のあり方などが十分検討された上で進められているかどうかに大きな問題がある。ひとつの理由のみでひとつの作業のみが集中化されたり,自己の職能利益擁護に走ったりして総体的な機能発揮が阻害されることはないであろうか。機能全体をまず考えて各機能を標準化して,相互の関連性の調整をはかり,作業や人員配置の均衡が保たれてこそ合理化の成果があがるものであろう。したがって,分析結果によっては集中化するよりむしろ分散化した方が合理的な場合が当然起こってくる。また,合理化には人員の増減,職能訓練が伴ってくる。一般に病院での新人採用は非常に困難である。
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