霞ケ関だより
救急医療制度の発足
下村 健
1
1厚生省医務局総務課
pp.88-89
発行日 1964年6月1日
Published Date 1964/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202373
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本年2月20日,救急病院等を定める省令(昭和39年厚生省令第8号)が公布され,さる4月10日から施行された。本則2条からなる小省令であるが,救急病院等を全国的に制度化しようとする初めての試みである。従来,東京等一部の大都会では,消防機関による救急患者の搬送業務がかなり活発に行なわれており,これに附随して消防機関と個々の医療機関との提携によっていわゆる救急病院等も存在していたのであるが,最近の交通量の激増,産業災害の増加等によって,事故による傷病者も増加の一途を辿っており,とうていこれまでのようないわば自然発生的な救急業務体制ではこれに対処し得ないような様相もみられるに至ってきた。これに対しては,消防,警察,医療機関等関係する各分野における体制の整備が必要であるが,昨年四月まず消防法の一部改正が行なわれて消防機関の行なう救急業務の組織化が着手されるに至った。従来,本来の消防業務に附随して全くのサービスとして行なわれてきた消防機関の救急業務について,その内容,範囲等を明確にするとともに,特定の市町村についてその実施が義務づけられるに至ったのである。
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