特集 中央検査室
血液銀行の管理
福武 勝博
1
,
鈴木 弘文
1
1東京医科大学中央検査科
pp.51-58
発行日 1963年6月1日
Published Date 1963/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202141
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I.緒言
従来,総合病院が医療について独立した完全な姿でなければならないのが当然であるのに対して,こと「輸血」特に「輸血に必要な血液の管理」という問題に関しては現在の日本の病院の機構を考えてみるに非常に不完全な状態が多多あることを痛感する。輸血はその意義から考えて,良質そして健康な信頼される血液を注入するということがまず第一に必要な条件であることは今更ここで改めて述べるまでもないが,更にこれらの血液が厳重な管理の下に保存されていて,そして何時でも,その血液型の如何を問わず,充分な量が供給されるべく準備されていることも重要である。また,これらの血液を輸血する際に,受血者との間における適合性を信頼できる機関,施設において検査されることも輸血にさいして絶対必要な条件である。従って総合病院或は輸血を多く取り扱う医療機関においては,これら輸血にさいして重要な条件即ち,患者の体内に血液を注入するということ以前の問題に対してもっと慎重に対策を講ずべきであり,輸血の管理,輸血に使用する血液の管理をつかさどる独立した機関,施設を是非設けるべきであると考える。こうした機関,施設の代表的なものとして院内血液銀行があげられるが,その他,血液の供給のみを他の営利的血液銀行に依存するが,血液の保存及び輸血の管理は中央化した機関にておこなっている所謂,狭義の院内血液銀行或は輸血部,輸血センター等といった施設を設置している総合病院もある。
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