Hospital Topics 診療管理
パリの救急外傷センターの基本方針
K.S
pp.87-88
発行日 1963年4月1日
Published Date 1963/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541202110
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歴史:パリー市内には約100余の救急指定病院が散在していたが,24時間,昼夜の別なく,本格的な専門治療を施すセンターはなかった,他方,労働災害による負傷者,交通激増による事故者の続出,運動スポーツによる怪我人の発生は鰻上りに増加し,入院加療を要するものがフランス全土(アルジェリアを除く)で50万人前後に達し,治療費と補償費の合計は毎年略2800億円(邦貨換算)程度の高額であった。フランス政府としても,50万人を如何に抑え,多額の費用支出をどの様に節減するかが重要な課題であった8又,負傷者の殆んどが青壮年なので,生産性の面からも,損失が大きく,更に1人の労働者が自己の妻女以外に1人の老人と1人の無縁者を養っている現状から見て,労働者の事故負傷は他にも累を及ぼすことは明白なので,社会政策上由々しい問題を惹起している。
さて,之等の対策のため,実態調査をしてみると,労働災害,交通事故,スポーツ負傷の何れでも,早期に而も専門的治療を与えるなら,治療日数は短縮し,後遺症の数は減少し,程度も軽減し,諸種の経費も全体として半減し得る予想がたてられ,事実,オーストリアや英国の一部での成績も推定通りだったので,フランス政府は全土に取扱えず8救急外傷センター設置に踏み切った。
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