特集 病院労務管理
肺結核患者の要望事項について—過去5ヵ年間,32回の患者側要望項目の分析
小林 信三
1
,
大崎 康二
1
1浦和市立結核療養所医務課
pp.524-529
発行日 1961年7月1日
Published Date 1961/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201818
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まえがき
肺結核に対する外来治療(自宅療法)の可否は,現在なお,とかくの議論がなされているが,少くとも,入所療養に利点があるとするならば,それは,第一に,入所によつて得られるであろう肺結核という病気の正しい知識と,正しい療養態度を身につけることができるという点,第二には,自宅では不可能な適切な栄養療法を受け得るという点,第三は,嗜好の是正(食餌の好き嫌いが少くなる,また,酒,たばこをやめることが出来る)等が大きな効果であろう。
しかしながら,一方においては,肺結核患者は病気の性質上,入所期間が長く,一部の重症患者を除いては,自覚症状も少く,退屈されるのが実状である。したがつて,とかく精神的に「あせり」を感じ,療養に専念できない場合が出てくるわけである。であるから,療養所側としては,診療,看護の面はもちろん,給食関係,施設関係,環境衛生,さらに,娯楽関係などについても,常に患者側の要望,希望を聞き,できうる範囲で,患者の療養生活に「うるおい」をもたせるよう努力すべきであろう。
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