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医療機関における労働組合運動
遠藤 保喜
pp.883-888
発行日 1960年12月1日
Published Date 1960/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201740
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I.まえがき
過去2年来,各経営種別の医療機関において,労働組合運動が活溌化しており,医療機関の特殊性から,社会的にも論議されているが,特に精神病院の争議で,管理者側が保護患者の転院措置を執つたことが問題になつたり,日赤の某病院で伝染病患者の退院を実施しようとしたことが新聞紙上に大きく取上げられたり,また組合側の行動についても強い批判がなされるなど,医療機関の組合運動は,いろいろの意味で問題を孕んでいるようである。
これまでに各医療機関に相次いで発生している組合争議は,給与改善や,勤務条件の改善等の組合本来の要求のみでなく,職員の通勤問題から職員の採用に至るまで各種に亘つているが,それ等の中には,組合運動以前のものと思われるものも含んでいるところに,医療機関の労使関係が,今日の時勢においてもなお相当に旧い形態の中に在るものが依然としてあることを物語つているのである。
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