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主要各国の医療保障制度における病院医療費の比較的考察(II)
佐分利 輝彦
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1厚生省医務局総務課
pp.521-531
発行日 1960年7月1日
Published Date 1960/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201686
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III.西ドイツ
西ドイツの疾病保険によつて給付される病院サービスは,入院,看護,診療,薬剤,衛生材料の支給,およびすべての種類の患者収容施設(回復期患者収容施設を含む)において支給されるそめ他の総べての補助的サービスを含んでいる。結核患者は通常廃疾保険の給付を受けるが,廃疾保険は結核のほかに,リューマチまたはその他の慢性疾患に対する給付も支給している。疾病保険の入院給付は,被保険者に対して法定給付として最高26週間まで支給されるが,疾病金庫(Kranken—kasse:保険者)はその規則にしたがつて,入院給付の期間を52週まで延長できる。もし,被保険者が病院サービスの26週間の権利を使い果したときに,疾病金庫の顧問医が,給付が引き続いて継続されるならば労働能力を回復する十分な理由があると認めた場合には,疾病金庫は52週まで引き続き入院の給付を継続するのである。西ドイツの疾病保険においては,患者の自已負担はなく,疾病金庫は病院に直接医療費を支払つている。なお,西ドイツの疾病保険では,外来の給付については期間の制限はない。1945年の終戦直後から連合軍の占領中は,患者による医療費の一部自已負担の制度(占領地域によつてその額は異つていた)が実施されていたが,現在は行なわれていない。当時この一部負担金は,患者が診療を受けるために疾病金庫から医療券(Kranken—schein:疾病証明書とも訳されている。
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