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入院診療圏の構造に関する考察
岩佐 潔
1,2
1東京医科歯科大学医学部衛生学教室
2病院管理研修所
pp.641-652
発行日 1959年8月1日
Published Date 1959/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201549
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I.緒言
1.診療圏の定義と研究の目標
「診療圏とは,受診活動が他の範囲と場所的に区劃されて,同質的な共通性を持つて行われている範囲である。」1)と定義できると思われる。即ち,それは本質的には,生活圏や経済圏と類似の,利用者中心の総括的な地域概念である。
同質的な共通性という条件を,ある一病院の利用という特定条件に限つた場合には,その病院が患者を集める勢力圏,あるいはその病院の市場地域となり,病院中心の概念として把握することができる。これまで診療圏とは「診療機関について,これを利用する人々の空間的分布の状態をいいあらわす言葉」2)であるとか,あるいは「各々の病院はそれを利用する患者が分布している地域を持つている。それを診療圏と名づける。」3)といつているのは,このように考えることによつて,第一の定義に包括させることができる。
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