特集 税と病院
医療法人と税問題
荘 寛
1
1日本医療法人協会
pp.163-166
発行日 1959年3月1日
Published Date 1959/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201478
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
医療法人は昭和25年の春すなわち第7国会を通過して医療法第4章として制定された。国会に上提された当時の状況については省略し,只医療法人の生れた最も主要なる理由を申し述べますと,第一に従来の私立病院又は私的医療機関は,院長が死亡するか又は他の事由によつて後継者に財産の殆んど全部を譲らなければならない場合は非常に莫大な相続税又は贈与税を課税されるので,実際問題として医業の継続が殆んど不可能の状態におかれるのであります。相続税は累進課税でありまして,今日多少改正され軽減されておりますが,当時は1000万以上の資産に対しては約65%という課税率でありましたので,到底換金して納税するという事が困難な状況で一度相続すると病院経営は不可能となるのであります。したがつて此等の私的医療機関に法人格を取得させる事によつて医業の永続をはかり,その病床を保護することが出来ますのは,ひいては国民の健康を確保する当時の医療国策の線に沿うゆえんであります。第二には個人で近代的施設を有する病院の建設は仲々困難でありますので,数名が互に出資して共同の病院を建設することが出来ますように社団法人の制度もありまして,即ち資本の集積を容易ならしめたと云うことであります。
Copyright © 1959, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.