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診療設備基準案について
守屋 博
,
小西 宏
pp.50-51
発行日 1956年8月1日
Published Date 1956/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541201133
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診療設備は近代病院の心臓である。近代医療の特徴の一つは診断や治療に際して種々の機械装置や設備が使用されることであり,いわば診療の機械化ということもできる。新しい機械装置や設備が作り出されたり改良されるにつれて医療の巾は拡がり,その内容が高められて来たことは私共のよく知るところである。今日の段階では診療設備のよしあしによつて医療内容が相当左右されるという事実を認めざるを得ない。このような実態から医療機関の関心が診療設備の充実に払われるということは当然の成行きである。近頃は素人の患者ですらX線装置は無論のこと心電図の有無や臨床検査室の設備の如何に関心を示すようになつて来た。病院で行われる医療は診療所の夫に比し,量的のみならず質的にも違うのだと大見得を切る所以は病院においてはチームを形成した医師により総合診療が行われるということの他にいろいろの進歩した診療設備が必要に応じて自由に利用できる,という利点があるからである。併し,それならば病院はどの程度の診療設備を備えるべきか,ということになるとなかなか簡単には定め難い,できるだけ高度の設備を備えたいことはやまやまであるが,精巧になればなる程機械や設備の価格も張つて来るので,思うように整備ができ兼ねるというのが現実の姿である。
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