病院長プロフイル・23
温泉医学の開拓者髙安慎一氏(国立別府病院長)
pp.47
発行日 1955年7月1日
Published Date 1955/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200978
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人生を「正しく清く明るく強く且つ温く」幸福に送つて行きたいとは誰れしも念願する所であるが,高安慎一先生は,この人生の五種競技に於いての優秀なる成績の「レコード」所有者であり,選手でもある。成程,医学界に於いては学識経験,政治力,E・T・C,有能多才の人は数多いが,ほんとうに人生を人間らしく生き「人生の幸福は何か」「人間のあり方は」かくあるべしとの「サンプル」が先生の歩いてこられた道である様に拝察している。
先生は,明治17年6月東京に御出生,明治41年福岡医科大学卒,同43年熊本医専教授(生理学),明治45年欧洲留学,帰朝后熊本医大教授,大正13年九大に帰学,昭和元年温泉医学研究に再度欧洲留学,帰学されて九大教授兼九大別府温泉研究所長として温泉医学を開拓せられ,又昭和18年には鹿兒島医専,ついで鹿兒島医大学長として医育方面に尽大なる功績を残されていることは周知のことである。次いで昭和23年現在の国立別府病院長として着任せられ,深い御学識,御経験と温客なる御人格は,医局医員,院内職員の崇仰の的となり,患者の信頼となり,病院管理に医療面の向上に努力せられたるは申すまでもない。特に温泉治療学第一人者としての御抱負は厚生省昨29年度国立別府病院に国費3千万円の巨費を投じて天下に誇る先生の年来の宿願の殿堂たる壮大なる大温泉治療病棟を整備し,鬼に金棒を与えた。
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