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病院に於ける医療社会事業の本質—実態調査の結果の檢討
石原 信吾
1
1病院管理研修所
pp.13-19
発行日 1954年12月1日
Published Date 1954/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200897
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1.現在の発展段階
どのような業務でもその草創期に於ては,或る程度の混沌と低迷の存することはまぬがれ得ない。そこでは,関係者が如何に開拓者の意気込と熱意とを以て努力するとしても,業務の本質の把握とか,正しい進展方向の発見とかいう点に於て,暫くは模索と低徊の時期を脱し得ないのが普通である。そうした事態が克服されてはじめて,当該業務は第二の発展期に入り得ることになる。
我が国の病院に於ける医療社会事業の現状は,今回の実態調査の結果より見ても,正しく,未だそうした草創の昏迷期にあるものと考えられる。即ち,前稿までに指摘して来た通り,そこには(1)本業務の普及度は著しく低く,而もその分布が極端に偏在している。(2)病院の診療機構上に於て,本業務の占める位置乃至機能が必ずしも明確にきれてはいない。その為に,特に不可欠とされる医師との業務上の連絡協調関係は極めて低調である。(3)実施している業務内容に於て,経済乃至経済関係の問題の占める割合が非常に大きく,一般社会事業との関係或は限界が明かではない。
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