讀者の聲
病院経営合理化における反省とこれからの課題
橋本 正二
1
1国立姫路病院
pp.38
発行日 1954年2月1日
Published Date 1954/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200771
- 有料閲覧
- 文献概要
戦後,病院経営管理の合理化はさかんに分析,検討されてきた,雑誌「病院」をはじめ病院管理研修所が中心となつて,この方面の指導者の間で種々,検討され,厚生省でもかなり実践的に病院改善の方針をたて,統計的考察をも試みており,すでに数年を経過したのであるが果してどの様に経営の合理化は前進したであろうか。
病院経営管理合理化のそれは,わが国の生産的企業形態が行つてきた産業合理化運動と実質的に一致する風潮であつて,医療行為の経営形態である病院管理においても幾多の同一課題を含んでいるものである。唯,わが国の医療制度発達の過程に蓄積された後進的な多くの欠陥や,払拭し難い封建性と,複雑煩鎖な特殊性を内包する病院の経営を合理化し,科学化することは極めて困難なことであることはいうまでもない。長期間のたゆまざる努力と最大の勇気をもつてこれに当らねばなされることがらではない。それどころか,ともすれば当の問題の所在点をすら見失うおそれがあるのである。ところが近頃経営合理化といろ耳なれたこの言葉に何かひとつの行詰りを感じ,あせればあせるほど,この状態のまま固定してしまいそうな危険を感じるのは,ひとり筆者のみであろうか。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.