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寢臺の研究
上田 篤次郞
1
1日本醫科大學生理學教室
pp.12-15
発行日 1952年9月1日
Published Date 1952/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200529
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I 緒言
種々の疾病そのものに對する治療法に關しては,最近特に目覺しい進歩が認められますが,疾病治療に必要缺くべからざる安靜は具體的に如何なる注意を以てすれば,最も合理的に保持し得るかと云う問題に關しては,系統的に研究されたことを寡聞にして知りません。特に結核治療に於ては安靜と云うことが重要事項として廣く強調されて居るに拘らず,長期臥床者の寢具,特に床(とこ)の影響に關しては大なる關心が拂われているとは思えず,甚しい場合には不愉快な褥瘡の發生を見る場合もあり,又患者でなくても,健康者が疲労を恢復し日々充實した活動力を保持する爲には,十分なる睡眠の必要が叫ばれながら,「床が變ると熟睡出來ない」と云う誰でも經驗していることの原因は探究されて居りません。私も先年A型パラチフスで入院した際,病苦と云うよりもむしろベツトの不適による苦痛に,それこそ文字通り身の置き所に苦しんだ經驗を持つて居ります。
そこで之等の問題を解明し,寢具特に床(とこ)の具備すべき要件を定める目的を以て第1表に掲げた計畫に基いて實験を開始し,目下未だその途中でありますが,今迄に知り得た成績の一端を茲に報告致します。
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