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川島震一博士の「世界の醫學をたづねて」を讀んで
守屋 博
1
1國立東京第一病院管理部
pp.101-102
発行日 1952年6月1日
Published Date 1952/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200502
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川島博士は,鐵門競技部の大先輩で私は,學生時代から,色々御指導を受けていたが,昨年度,世界醫師會大會に,日本醫師會を代表されて出席され,その旅行記は,其の都度日本醫師會,雑誌,其の他で興味深く読まして頂いていたが,今度,記事の頁200寫眞だけの頁200と云う豪華な單行本にまとめて出版されたので,通読の機會を得た。この様な文章は,個々の斷片的の記事とちがつて,まとめて読むと著者の人柄其の思想的根據をはつきりと見せられるものであるが,川島氏の場合も終始一貫して,醫師會の幹部である氏,消化器學界のリーダーである氏,オリムピツク委員である氏,ロータリアンである氏,美術愛好家である氏,ゴルフフアンである氏,いたる所に顔を出している。しかし私が一番興味をもつて読まして頂いたのは,二十數年,日比谷の胃腸病院の院長としで病院管理の實際に苦勞された博士が世界二十數ヵ國の病院管理を見られて,やや結論らしいものを出されている點である。
博士の旅行は,9月3日のローマに始まつて,スイス,スエーデン,フインランド,ノールウエー,西獨,英國,等約1ヵ月半の歐州旅行を前半に集め,後半の大部分を米國の各地に用いておられるが,その國々で風物人情を實に要領よくスケツチされラヂオの坂井氏のアメリカ便りを聞く如くスケツチしておられる氏にこの樣な文筆の才があるとは知らなかつたので,大いにおどろいた次第である。
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