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臨床檢査中央化についての諸問題
小酒井 望
1
1國立東一研究檢査科
pp.15-23
発行日 1951年10月1日
Published Date 1951/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200388
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臨床検査室の在り方としては臨床検査の中央化の方向をとるべきこと,並に國立東京第一病院では此の中央化が行われ始めた事については,昨年の本誌10月號に書いたが,その後10ヵ月間の經驗を次の9項目に分けて述べ,讀者諸氏の御批判を仰ぎたいと思う。
從來の臨床家は,殊に内科系統では,熱心な「學者」であればある程,自分の患者の検査は自分で」をモツトーとして自らも實踐し,又後進を指導して來た。その樣な慣習になれた臨床家から臨床検査を取り上げる—と云うと語弊があるかも知れないが—ことは物議をかもすのも當然である。當院では成る理由から此の中央化が強行された。その後10ヵ月經つたが,その間定員法に縛られて人員の増加が思う樣に出來ず,又限られた豫算内で機械,器具等の整備も意の如くならず,中央化によつて得らるべき利點がわかつていながら,その長所が充分現れず,徒らに臨床各科からの不平と非難を甘受しなければならなかつた。そして来だに解決しない問題が残されている。そのため中央化の長所を充分知つていながら,やゝもすると舊態に戻したいと云う氣を起すむきもないわけではない。この樣な状態に於て,臨床検査の中央化,即ち病院經營の合理化の當然の歸結としての中央化を完成するために直面している諸問題について私共の經驗と私見を述べたい。
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