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編集後記
吉田
pp.50
発行日 1951年3月1日
Published Date 1951/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200299
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陽春うららかな來月の初めには,第13回日本醫學會總會が,東京で花々しく開催せられる。大内科學會,大外科學會を初め,大小41の各部會において,數千の演題を中心に萬餘の會員が論議を戰わす。壯觀といわなければならない。數と演題の質から見れば,確に世界有數の學會である。實に日本醫學會の偉大さを讃え度い。
然し,こゝにわれわれが考えさせられる問題がある。即ち,これらの數千の研究成果がわが國の民衆のためにどれだけ碑益しているだろうか,また各研究者の數年の辛苦の結晶がどれだけ報いられているだろうか。このことに思いを致すとき,病院の經營者,病院の管理者は,或は焦慮し,或は失望し,或は自責せざるをえないだろう。というのは學問と實際との間のギヤツプが如何に大きいかということに氣付くからである。年々現われる偉大な學問の成果を,刻々實際化し,普く患者に,應用し,そしてより良く國民の福祉を増進せしめるという重大な仕事は,一體誰の責任だろう。學問の實際化! より適正な醫療の普及化! 病院人が卒先取り上げるべき問題ではなかろうか。
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