特集 勤務医と労働基準法―医療の現実と法
医師の労働と原価・診療報酬
林田 賢史
1
,
今中 雄一
1
1京都大学大学院医学研究科医療経済学分野
pp.819-822
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100093
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近年,医療費抑制の政策の動きは顕著となり,効率的な医療システムの構築が求められている.医療の質の保証のために必要な資源,財源を確保することは必須である.どれくらいのインプットに対して,どれくらいのアウトプットがあるかを定量的に把握するために,インプットである資源消費量の推計,すなわち原価計算が重要となってくる.スコープや手段の相違はあるにしても,医療原価計算は,施設経営においても診療報酬政策においても重要である.
平成15年度から特定機能病院より急性期入院医療を対象に診断群分類(DPC : Diagnosis Procedure Combination) を用いた包括評価に基づく支払い制度が導入された.これは,診療報酬額,つまり医療機関にとっての収益が DPC という単位で包括評価される試みであり,原価(コスト)に関しても DPC 単位で評価する必要性が急速に認識されるようになった.
そこで本稿では,医師の活動の原価に焦点をあて,まず医療原価計算(患者別,診断群分類別等)のフレームワークにおける医師の原価についての考え方や方法論を紹介する.次にそのフレームワーク等を基盤にした現状の診療報酬の分析例を提示することを通じ,医師の活動に対する診療報酬の考え方について検討する.
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