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病院と管理(その12)—病院の倫理
吉田 幸雄
1,2
1厚生省医務局医務課
2病院管理研修所
pp.13-18
発行日 1950年6月1日
Published Date 1950/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200149
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第五章 病院と診療との倫理的関係
日本医師会では最近医道の昂揚の為に,医師の倫理を制定する準備をしていると聞いているが,確に時宜に適したものというべきであろう。医師が有する社会的責任というものは重大であるから,その行為は当然正しい医学的知識技能によるばかりでなく,人道的でなければならない。「先生」という敬称を受ける所以はこゝにあるのであつて,名実共に「先生」として値する人格識能を有すべきことは申すまでもない。そして病院に働く医師は,病院の社会的施設としての重大な位置及使命から考えて,特にこの点が要求されなければならない。この点わが国の病院勤務医師について反省されなければならない問題が存在しないだろうか。
アメリカ医学協会及びアメリカ外科医士院が認証する病院は,病院で診療を行う医師(閉鎖式或は開放式を問わず)は,資格があると同時に倫理的であることが要求されている。病院の施設を利用出来るという特権を持つている医師に対して,病院は倫理的監督を行う権威と責任を持つものであるとしている。従つて,病院の開設者は,倫理的でない医師を任命したり,或は医道に反するような診療を行う医師を病院に関係させて置くことは許されない解である。
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