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病院と管理(その10)—病院長は何をしなければならないか
吉田 幸雄
1,2
1厚生省医務局医務課
2病院管理研修所
pp.9-13
発行日 1950年4月1日
Published Date 1950/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541200119
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【3】患者の専門的世話に関する義務(続)
(5)給食部に関する義務
病院は病人を收容治療する処である。従つて病.人に榮養を補給し,疾病治癒の活力源を賦与することは病院の義務であり,この食物のサービスは院長の責任である。然るに経戦後のわが国の病院はこの問題に対して如何なる取扱いをしていたで、あろうか。大部分の病院は患者の自炊に委ねてしまい,偶々給食をしたとしてもその給食内容は不完全極まるものである。即ち病院の義務を放擲しておつたといつても過言ではない。勿論戦争末期からの食糧事情の悪化が最大の原因であり,更に社会保障制度の一部である保険診療が給食費を10点におさえて置いた侭であつた事も原因の一つであろう。戦後病院給食の加配及び病院給食の指導が行われたが,以上の原因が障害となつて仲々戦前の欣態には恢復し難い現状にある。この際特に各病院の協同した努力が必要である。第一に院長が取上げなければならない事は,食糧の入手困難,食費の不足という悪事情の為に全く放擲して居つたこの大きな病院の養務を思い起す決心である。そして事務長と栄養士と医師その他の職員の協力によつて,病院給食組織を確立することである。
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