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世界の先進諸国の中で最も急速に高齢化が進む日本.その中で,2025年問題は社会保障分野,とりわけ医療・介護の分野の合い言葉となって久しい.図1のように戦後の団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるのが2025年であり,それ以降は高齢者人口のピークを迎える.その人口構造は日本の歴史の中でかつてない構造である.つまり,社会保障を支える側の生産年齢人口に受ける側の高齢者人口が限りなく近づき,1人の若者が1人の高齢者を支えるという時代に突入する.もちろん,2025年問題は急にわかったことではないのでさまざまなところで警鐘は鳴らされていた.今まで5次にわたる医療法改正でも来るべき高齢化時代に向けての医療体制の構築が叫ばれ,さまざまな施策が提案された.
特に平成18(2006)年の第5次医療法改正では各都道府県が策定する「医療計画」において,4疾病(がん,脳卒中,急性心筋梗塞,糖尿病)5事業(救急医療,災害時における医療,周産期医療,小児医療,へき地医療)別の具体的な医療連携体制を地域ごとに位置付け,県の医療計画策定を促している.いわゆる,「循環型医療連携」なる提案がなされていた.これは疾病(事故)などの発生から症状の軽重に合わせて,該当する医療機関に搬送し対処するという図式である.さらに,症状の変化に合わせて該当する医療機関に転院などを行い,治療を受け継ぎ,最終は在宅や慢性期治療を扱う施設まで回っていく.つまり患者の症状に合わせた医療機関に医療連携の下で患者を搬送移動(循環)させるという図式を描いたものである(図2).この提案は医療連携の理想型として提案したものであるが,地域の医療機関構成や現場の医師の連携への意識など,現実と乖離していたため「絵に描いた餅」と現場からの批判が相次ぐものとなった.
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