連載 リレーエッセイ 医療の現場から
医療通訳は病院を救う
沢田 貴志
1
1港町診療所
pp.591
発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102317
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私が勤務している港町診療所は,横浜で働く人々のために設立された無床診療所である.開設以来,英語での対応が可能であったために外国人の患者さんを多数診療してきた.特に外国人労働者が急増した1990年代には,毎日20~40人程の外国人の新患が訪れる時期もあった.これまで100以上の国と地域から,1万人以上の外国人が来院している.
当時は健康保険に入れない立場の人も多く,遠くから重病人がくることが少なくなかった.来院する患者さんの中には腹膜炎,劇症肝炎,心筋梗塞,末期の悪性腫瘍といった重症の人も少なからず含まれており,毎週のように救急車で入院搬送をする特異な診療所であった.そんな野戦病院のような時期を乗り切ることができたのは,近隣の多くの公的病院が労を厭わず,こうした患者さんを受け入れてくれていたからである.相談を持ちかけられた医師だけでなく,病院をあげて一緒に解決法を考えてくれた.
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