連載 リレーエッセイ 医療の現場から
今,人として生きるための生活復興を考える
酒井 明子
1
1福井大学医学部看護学科臨床看護学講座
pp.639
発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541102076
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東日本大震災が発生してから3か月が経過した.死者は1万5000人以上,行方不明者は8000人を超えている.今回の大震災では,地震が起きて津波が押し寄せ,原発が制御を失い,いのちの危機に直面する場面が立て続けに起こった.そのような中で,医療者は,いのちと生活を守るために被災地で懸命に活動した.自らが被災しながらも住民のために少しも休まず活動を続ける人々や,急遽ボランティアで駆け付けた人々も必死で活動した.こうした様々な支援のつながりがいかに大切かを実感する3か月でもあった.
災害直後は,津波で甚大な被害を受けた沿岸部では人命の救出が続いた.そして,今なお進まない瓦礫撤去の中,夕暮れ時になると,呆然と海を眺めている家族の姿が痛々しい.一方で,津波被害のない内陸地で家屋倒壊などの被害に見舞われた所はすぐに,生活支援,復旧に向けての取り組みがなされている.しかし原発事故で避難を余儀なくされ,帰れる日のめども立たず土地を離れて途方に暮れている人々の時間は止まっており,生活の問題,仕事の問題などが山積みになっている.
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