連載 リレーエッセイ 医療の現場から
あなたの病院はオープンですか?
佑嶋 敦志
pp.919
発行日 2010年11月1日
Published Date 2010/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101831
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「次の治療の存在自体が難しいと思います.末期医療の病院を探してください」
5年前の夏,こういう意味のわずか2行のメールを,主治医のA医師から受け取った時の衝撃は生々しく覚えている.よく「頭をがーんと打たれる」というが,こういう時を指すのだろう.「(妻の)次の治療法を相談したい」とメールしたのに対する返事である.「重大なご指摘と受け止めましたので,お目にかかりたい」と返信すると,「末期医療の病院を探してからにしてください」とにべもなく拒否された.妻は悪性脳腫瘍で,その3年前から闘病していた.この時,再再発した腫瘍が月を追って再増大していた.A医師の上司である助教授は私だけを呼び,「余命は半年から1年」と告げた.
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