連載 鉄郎おじさんの町から病院や医療を見つめたら…・35
―技術・技能以前の課題雑感(2)―作法を忘れてしまった日本人
鉄郎
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1NPO法人アットホームホスピス
pp.642-643
発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101762
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家が持つ力
妻が病院での治療を断念し,家に帰った時のことだった.白血病末期の妻は,口とのどがひどくただれ,食事ができなかった.高カロリー輸液で身体を維持していたが,退院時に,その輸液のルートまでも外して帰ってきた.それが彼女の意思であり,「やっと楽になった.これで肩もこらない」と,うれしそうな顔を見せたのを覚えている.
それはよかったが,では彼女を介護する僕は,何を食べさせればいいのだろうか.料理は覚え始めたばかりだし,介護食となると粥やおじやしか頭に浮かばない.
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