連載 リレーエッセイ 医療の現場から
うつ病患者の暮らしと心を見つめて
関口 潔
1
1国際医療福祉大学 医療福祉学部
pp.399
発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101698
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人は何のために生きるのか.そんなかたちで精神のありようを問われてみると,自分でも納得のいく答えというものはなかなか出てこないものです.あえて解を探そうとするなら,誰もが「幸福」なるものの姿を希求しながら日々を過ごし,その中にある喜びを希望に昇華させながら生きているのではないかという,心もとない推察に頼るのかもしれません.幸福や喜びと無縁の人生など,自ら望む人はいないでしょう.しかし,そんな絶望にも似た感覚に憑かれてしまった人々を,私たちは「うつ病患者」と呼び,治療・支援の対象とみなします.私は,これまで約2,000サイトのうつ病患者ブログの調査研究に携わり,その言葉世界に横たわる無数の想いの轍を見てきました.
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