連載 図説 日本の社会保障
医療・年金・生活保護・12【最終回】
日本の社会保障―今後の課題
泉 孝英
1,2
1京都大学
2(財)京都健康管理研究会
pp.1054-1056
発行日 2009年12月1日
Published Date 2009/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101601
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戦後64年,正確に記載するならば,1947年5月施行の日本国憲法において「社会保障」の用語がわが国に初めて登場して以来62年,この間,わが国の社会保障は目覚ましい充実を遂げ,欧州先進諸国に比して遜色ない状況に至っている.「すべて国民は,健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する(憲法第25条-1)」は実現していると言えよう.
この社会保障の充実を支えたものは,1990年までは,高度経済成長(1955~1973年)に代表される目覚ましいわが国の経済発展であった.しかし,1991年以降,増加し続ける社会保障費を賄ってきたのは,国の債務(借金)であることは強調されねばならない.1991年,初めて赤字国債が発行され,2009年度末の日本の長期債務は816兆円(対GDP比168%)と世界の先進諸国の中で最悪の財源状態を来たすと算定されている.「高負担・高福祉」か「低負担・低福祉」かの問題に決着をつけ,「低負担・高福祉」体制,債務の膨張体制からの脱却が必要である.
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