連載 鉄郎おじさんの町から病院や医療を見つめたら…・27
―映画人が見つめる病の世界(3)―簡単にわからないもの
鉄郎
1
1NPO法人アットホームホスピス
pp.1052-1053
発行日 2009年12月1日
Published Date 2009/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101600
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映画『おくりびと』
本木雅弘さん,広末涼子さん主演.脇を務めるのが山崎努さん.監督は滝田洋二郎さん.第81回アカデミー賞外国語映画賞受賞作品である.観たいなぁと思っていたら,わが町の小さなホールで,800円で鑑賞できると知った.DVDなら3,000円以上,映画館に行けば1,800円する.「これは安い」と,喜び勇んで会場に足を運んだ.
ところが,会場は早朝から長蛇の列.ゾッとするような光景だった.ホールの改札から階段,エレベーターとつながり,外の歩道へはみ出した人の列が延々と続く.聞けば3時間半待ちという.そして,並んでいるのはお年寄りばかりで,その会話たるや「あそこのおじいさん,少し前に特養で死なれてねぇ」「一緒に行こうと山田さんを誘ったけれど,歩くのがつらいとかで…」と,井戸端は深刻な話題ばかり.並んではみたが,その中で3時間も耐える根性がなく,映画館へ行くことにした.
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