特集 産業は病院市場をどう見るか
病院の資金調達の課題と多様化の必要性
村山 浩
1
1ヘルスケアマネジメントパートナーズ株式会社
キーワード:
病院経営
,
資金調達
,
社会医療法人
,
診療報酬債権
,
資産流動化
Keyword:
病院経営
,
資金調達
,
社会医療法人
,
診療報酬債権
,
資産流動化
pp.390-393
発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101446
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■急拡大する病院の資金需要
病院の7~8割が赤字であるといわれるが,高齢化の進展と医療技術の進歩等によって現在34兆円の医療市場と7兆円の介護市場は今後も拡大を続け,高齢化のピークを迎える2025年には合わせて100兆円になるとも言われている.医療や介護は病棟,施設,医療機器等大がかりな設備投資が不可欠なため,今後市場の拡大に合わせて資金需要も拡大していくことは確実である.ただし,これからは経営状態が良く,財務内容の開示と将来の事業計画の健全性が示せる病院のみが資金調達ができるという状況になるであろう.
急性期の病院はDPCの導入と平均在院日数の短縮を図り,平均入院単価と患者数は増加するが,患者ニーズに合った治療行為を提供できない病院は現状の診療報酬では採算が合わずに淘汰される側に入る可能性がある.これから数年は所謂「勝ち組」と「負け組」がはっきりとし,病院の統廃合が加速,約9,000の病院は6,000程度まで減少し,勝ち組となった病院にはさらに多くの医師が集まり,先進医療機器への投資や病棟拡張といった拡大のための資金需要が出てくる.さらには地域の中小病院や公的な病院を救済合併するM&Aのための資金調達も必要になると予想される.一方,急性期病院の旗を降ろし後方病院として療養型か介護施設への転換を果たす病院も一定数増加し,食堂,入浴設備,リハビリ機能の充実といった設備の増改築に対する資金ニーズも増加すると思われる.
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