特集 病院とお金の深い関係
総論
病院経営における資金の重要性
松本 庄平
1
1独立行政法人 福祉医療機構経営サポートセンター リサーチグループ
キーワード:
減収の影響
,
病院経営
,
資金繰り
,
経営指標
,
新型コロナウイルス対応支援資金
Keyword:
減収の影響
,
病院経営
,
資金繰り
,
経営指標
,
新型コロナウイルス対応支援資金
pp.938-942
発行日 2021年11月1日
Published Date 2021/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541211548
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■はじめに
本稿を執筆している2021年8月現在,依然として,新型コロナウイルス感染症(以下,新型コロナ)の感染拡大が繰り返されている.最前線における感染患者の治療や,一日も早い収束に向けたワクチン接種への対応など,日々献身的に奮闘されている全ての方々に深い敬意を表すとともに,心から感謝申し上げたい.
近年では,医療提供体制の構築において一貫して病院の機能分化による役割の明確化と,連携の強化が重視されてきた.このため,一つの医療機関で治療が完結することは少なく,病状などに応じた連携が一般的となっている.新型コロナの感染拡大は,地域における感染の程度や,提供する医療機能の違いによる濃淡はあったものの,全国の病院運営に大きな影響を及ぼした.受診抑制,救急搬送件数の減少,医療機関側の受け入れ態勢の問題により生じた急性期病院の患者数の減少は,回復期や慢性期の医療機関にも連動し波及した.しかし,このような非常事態にあっても,各病院は地域住民の命や健康を守るとともに,運営の継続が求められる.
本稿では,新型コロナが病院経営に与えた影響を振り返りながら,福祉医療機構(以下,当機構)が有する病院の決算データを用い,今次のような非常事態でも安定的に医療を提供するために必要な手元資金の備えについて考えるとともに,当機構の新型コロナウイルス対応支援資金(以下,新型コロナ対応資金)の状況を確認したい.
なお,文中における見解に関する部分については,個人的所見であり,当機構の見解でないことを申し添える.
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