特集 看護師の役割を今問い直す
看護師とチーム医療―病院と施設を考える
武久 洋三
1
1医療法人平成博愛会博愛記念病院
pp.303-306
発行日 2008年4月1日
Published Date 2008/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101159
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看護師の歴史は長い.ナイチンゲールに遡るまでもなく有史以来,人類のために身も心も捧げてこられた先達の尊い積み重ねがあり,医師にとってなくてはならぬパートナーとして,大きな信頼を受け続けている.最近は数多くのコメディカル職種によるチーム医療が不可欠になってきているが,それは医療が「赤ひげ診療譚」の時代とは大きく変わり,高度化かつ複雑化してきたことに対する必然的な結果である.薬剤師や管理栄養士,臨床検査技師などの従来からの職種に加え,リハビリスタッフや社会福祉士(MSW)も大変重要な役割を担ってくれている.さらに,診療情報管理士や臨床工学技士,歯科衛生士,義肢装具士,視能訓練士などの新しい機能を持つ職種がチーム医療に参画してくれており,厚生労働省(厚労省)も国家資格でその技能を積極的に認定し,さらなる医療機能の細分化を進めている.しかし,だからと言って本来医療の中での2本柱である医師と看護師中心の関係は揺らぐことはない.
しかしながら,現在は医師も看護師も誠に多岐にわたる業務や責務を抱えており,昔のように狭義の医療だけを行っていればよいというわけにはいかなくなってきている.とにかく法律的な事務仕事が多すぎる.また,患者や家族との対人関係の複雑化のみならず,感染防御,医療安全,身体抑制など,当然必要なのにこれまではあまり考慮されていなかったことが,医療の進歩とともに権利意識の高まりもあって問題となり,医療現場は混乱している.
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