特集 病院空間とまちづくり
患者に魅力的な病院空間とまちづくりに魅力を与える病院
中山 茂樹
1
1千葉大学大学院工学研究科建築・都市科学専攻
pp.818-821
発行日 2007年10月1日
Published Date 2007/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101028
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健康を支える施設と病院デザイン
病院建築は自宅で看護・介護・療養ができない人々を施設に収容し,24時間の生活管理を行うことを目的に建てられた建物であった.考えてみると老人ホームなども,住み慣れた自宅での生活を継続したいのに,介護の手が足りない,環境が高齢者の行動特性にあっていないという理由により,移り住むものであろう.こうした種類の施設が魅力的なものになりうるのだろうか.
世の中にある“施設”と呼ばれる建築物には多くの種類があるが,学校にせよ美術館にせよ,その中で行われる行為を期待して訪問するばかりでなく,行けば楽しい,安らぎのある快適な空間が待ち受けてくれるから訪問する,という施設は多くある.しかし医療施設や福祉施設は,そもそものスタートからして分が悪い.本当は訪問したり滞在したりしたくない施設なのである.少々汚くて不便でも,腕のよい医師がおり,親切な看護師が面倒をみてくれ,高級な医療機器があると言う風評があるならば,それが病院の魅力であり,建築空間の質の良否が患者の口の端に上ることは珍しいのではなかったろうか.
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