特集 動き始めた新医師臨床研修制度
新医師臨床研修制度の地域医療への影響の現況
樋口 紘
1
Hiroshi Higuchi
1
1岩手県立中央病院
pp.741-747
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100884
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1億2,700万人が住む日本国内の津々浦々,たとえ過疎地であっても人が住むところには生活があり,人は病気を避けることはできない.人口が少なく医業が成り立たないへき地医療のほとんどは地方の自治体病院が担っている.その地方自治体病院の医師不足は都会では窺い知れぬ永遠の課題になっているのは周知の通りであり,日本の医療の抱える暗闇でもある.本稿では新医師臨床研修制度(新研修制度)の地域医療への影響について岩手県の現況(平成16年6月現在)を中心に短期間に捗猟し得た他県の自治体病院について述べる.
1.全国の医師数と地方別医師偏在
先に厚生労働省(厚労省)は医師の適正数を人口10万対200人としてきた.「平成14年医師,歯科医師,薬剤師調査」(表1)によれば,全国の医師総数は人口10万対206.1であり,すでに200を超過しているものの高齢医師や在宅女性医師などを除いた医療施設従事医師は人口10万対195.8で200に達していない.
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