特集 病院のコスト管理
自治体病院におけるコスト管理の問題点
小山田 惠
1
1社団法人全国自治体病院協議会
pp.647-653
発行日 2003年8月1日
Published Date 2003/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100659
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公的病院といわれている病院には,都道府県市町村が設立しているもののほか,厚生労働大臣が定める市町村の組合,国民健康保険連合会,社会福祉恩賜財団済生会,日本赤十字社,厚生農業協同組合連合会,社会福祉法人,北海道社会事業協会などが設立している病院が含まれている.このうち地方公営企業法が適用されている自治体病院では,経営形体が他の病院と全く異なるので,公的病院という総称で論じることはできない.したがって,本稿では自治体病院の経営に限定して執筆する.
自治体病院は現在全国に1,006あり,経営主体別では都道府県立229,指定都市立34,市立274,町村立330となっている.規模別では300床以上が全体の32.2%,100床以上300床未満が36.6%,100床未満が29.7%であり,それぞれ3分の1を占めているが,開設の経緯,立地条件,診療内容などは病院ごとに様々で,その役割や使命も一様でないのが実状である.ここでは,それぞれに異なる病院事情を敢えて無視し,一括平均的な視点から論ずることをご容赦願いたい.
現今,自治体病院に対する批判が他方面から上り,税金で建て,税金を払わず,赤字経営で税金を使う,自治体病院は税立病院だといわれるのをよく耳にする.しかし自治体病院全体がそうなのではないことを第一に述べると同時に,一般的に現在抱えている経営上の問題点とその対策についてわれわれがどのように考えているかについて述べることとする.
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