特集 看護人員の適正化に向けて
現場の今に対応する人員配置をめざして―「マリアンナ式看護必要度開発」と動的配置の実際
陣田 泰子
1
1聖マリアンナ医科大学病院看護部
pp.307-310
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100446
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医療に携わる者たちは,「医療の冬の時代」が当分続くことは誰もが覚悟していることである.この時代にあって,看護資源が今より多くなってほしい,と願うことは看護職,特にトップマネジャーとしてはおそらく一人も「ノー」とはいわないだろう.筆者にしても,決して十分とはいえない当院の看護資源をいつ「これで OK」と言えるのかと自問自答する.結論は,「どこまでいっても満足する状態にはならない」である.
どれほど資源を投入しても,それよりもスピードを増して,医療現場は変化していく.リスクマネジメントは,かなり極端な主張であることを承知でいうならば,これまでの事故防止から,今や「クレーム対応」へとそのエネルギー消費先は変化している.またかつて重症患者に多くのケア時間を割いていた看護師は,今病棟に数人存在する高齢患者の認知障害患者への対応に手が取られ,わずか 3~4 人の夜勤者のエネルギーは「転倒・転落防止」へと注がれる.トイレに誘導し,その排泄時間を使って他の患者へ対応している間に誘導した患者がトイレで転倒する.「せっかくトイレに誘導したのだから,終わるまで留まってよ!」といいたいのを抑える.それほどまでに「その間に○○をしなくては‥」あるいは「他の患者への対応」に飛んで行っては,戻ってきている,という現実があるからである.そして,在院日数は 2 週間を切り,さらなる短縮を求められ,これまた続く終わりのない闘いである.
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