特集 病院の人材確保―景気・社会構造の変化を踏まえて
介護保険施設の介護職と病院の看護補助職
猪口 雄二
1,2
1医療法人財団寿康会
2社会福祉法人江東ことぶき会
pp.727-729
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100371
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近年高齢者の増加に伴い,急性期の病院においても要介護高齢者が治療のため数多く入院している.そのため看護業務の中で,食事介助,排泄介助等のいわゆる介護業務が多くを占めるようになってきた.もちろん病状に応じた介助の方法を計画することは重要な看護計画の一つであるが,看護補助に介護業務を任せる場面も多く見受けられる.それに対し老人福祉施設では,介護業務は介護職が中心に行っている.そして,療養病床,老人保健施設では,老人福祉施設より多くの看護師を配置することになっており,看護・介護は一体化して提供されている.
一方,最近の介護施設の現場では介護職の離職が多く,常時職員募集を行っている施設が多いという.それは東京などの大都市のみならず,地方都市にも見られる現象となってきた.また,離職した介護職は他の介護を要する現場には戻らず,全く異なった職業を選ぶことが多いと聞く.この現象はバブル期に見られた看護職の離職状況に似ている.出生率の上がらない日本において,今後の超高齢社会に対し十分な介護を提供することはできるのだろうか.
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