特集 持つ病院,持たざる病院―法人制度から資金調達まで
米国ヘルスケア REIT と日本への適用可能性
田中 道昭
1
1株式会社日本ストラテジック・ファイナンス総合研究所
pp.472-475
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100314
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■REIT の意義と問題意識
REIT(不動産投資信託)とは,不動産に投資することを主な目的として多数の投資家から資金を集め,専門家が不動産に投資運用し,その損益を投資家に配分する不動産と金融商品の特性を併せもつ商品である.米国で発達したこの商品は,日本でも 2000 年 11 月の改正投信法により解禁され,2006 年 3 月現在で上場されているものだけでも 30 銘柄,時価総額 3 兆円を大きく上回る商品に成長している.上場不動産投信に加えて,特定少数の投資家からの資金をもとに運営されている不動産私募ファンドも,4 兆円を超える規模にまで急成長を遂げており,両者をあわせた不動産ファンドは,既にわが国の不動産ビジネスで最も影響力の大きいプレイヤーだ.
米国における REIT は,年金基金とあわせて同国の投資不動産のおよそ 4 分の 3 を所有しており,その他の指標も考慮すると,わが国の不動産ファンドの成長余力は極めて大きい状況と考えられる.日本の REIT も上場 REIT マーケットのスタートアップ期の主力商品である混合型や首都圏中心型等の投資しやすいものが中心であり,様々な特化型が REIT 本来の中核商品であることや,事業法人の持たざる経営への転換から考えても,その潜在成長力には大きな期待がかけられている.
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