特集 医療政策の決定プロセス
医療政策決定におけるメディアの役割
出河 雅彦
1
1朝日新聞編集委員
pp.998-1001
発行日 2005年12月1日
Published Date 2005/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100131
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医療を取り巻く環境は大きく変わりつつある.急激に進む少子高齢化,国と地方の財政危機,医療技術の進歩,安全で質の高い医療を受けたいという国民の意識変化などが主な要因となっている.限られた医療資源を有効に活用して,国民が納得できる質の高い医療を実現するための情報提供が医療報道の課題となっている.
医療を含む社会保障制度の改革は国民の生活に多大な影響を及ぼす.加えて,一度創設された制度は,問題が生じても大幅に見直すことが難しい.報道機関の役割は,政策が決定されるプロセスにおいて,問題点を可能な限り抽出して国民に提示することにある.
とは言うものの,メディアが問題の本質を適切に把握できず,国民に伝える情報に偏りや不足がみられるのが現実である.制度設計の段階では見えていなかった問題点が制度の実施後に顕在化し,あわてて後追いをすることも決してまれではない.
本稿では,最近の医療政策で大きなテーマとなっている,医師の養成にかかわる諸問題(卒後臨床研修の必修化,専門医の養成,医師の需給等)と,混合診療問題を題材に,政策決定の過程においてメディアが何をどう伝えたかを振り返り,今後の医療報道の課題を考えてみたい.
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