連載 アーキテクチャー 保健・医療・福祉 第130回
癌研有明病院
丹下 憲孝
1
,
森 一夫
1
,
木村 敏夫
2
,
堀 伸光
2
1丹下都市建築設計
2清水建設(株)一級建築士事務所
pp.854-860
発行日 2005年10月1日
Published Date 2005/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541100101
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計画の経緯と概要
「がんの克服をもって人類の福祉に貢献する」を基本理念に掲げる財団法人癌研究会は病院,研究所および看護学校,寮を東京都臨海副都心有明に全面移転した.
病院は昭和9年の開設以来,がん専門病院として高度医療を提供し,患者数は年々増加の一途をたどっていった.それに伴い施設の狭あい化,老朽化が懸念されていた折,1999年東京都による臨海副都心「有明の丘」への誘致病院として決定した.2005年3月,700床の病院として有明の地に新たにスタートした.
建物は,地上12階・地下2階建て,免震構造を採用している.「治療」と「研究」の有機的な連携のため病院・研究所を一棟とし,関連の深い部門を隣接配置し,各部門の連携に配慮した平面計画とした.高度医療および最先端の研究を支える基本性能を有し,将来の成長と変化に対応できるフレキシビリティのある施設としている.
病院の施設構成は,地下1階に放射線治療部,核医学部(体外計測,PET)のがん診断・治療部門や SPD 部門,1階は一般外来,救急,健診センター,2階はがん疾患専門外来,3階は14室の手術室と ICU・HCU が配置されている.病棟は5~12階に配置され,12階には全室個室の緩和ケア病棟(25床)がある.
病院はがんの早期発見から診断・治療,地域医療への貢献,災害時の後方支援医療を担う.研究所と一体になったがん治療・研究の一大拠点が有明の地に誕生した.
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