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東京慈恵会医科大学の麻酔科学教室の講師だったころ,どこかの教授になることを目指していた.そのころまでは,教授の任務が教育と研究であると考えていた.もちろん,臨床系の教授である以上,臨床の能力が高水準にあることが前提であり,必須である.
しかし,少しずつ教室の運営管理にも携わるようになって,教授の任務が単純でないことに気づいた.教室員の人事管理,教室費の財務管理も教授の仕事である.これらについて,教育を受けたことがないではないか.そこで,青山大学の大学院で科目等履修をとり,経営学を週1回学ぶことにした.そのときは,経営学原理,経営組織論,企業統治学,会計学に関する講義を受けた.ここでは,試験やレポートを提出し,単位も取得したが,医学部のときの成績よりも良かった.
このような行動が奇異に映ったのだろう.東京慈恵会医科大学の経営母体である学校法人慈恵大学から,麻酔科学教室を離れて,学校法人の運営管理を本務とするようにお誘いを受けた.そして,学校法人の参事という肩書きをいただき,どこの講座にも所属しない中立的な東京慈恵会医科大学の大学直属の助教授になった.
経営管理者としての能力を培うために,当時の岡村哲夫理事長の命を受けて New York University(以下,NYU)の Leonard N. Stern School of Business の Japan-U. S. Center for Business and Economic Studies に Visiting Scholar として留学することになった.このように,センター長の佐藤隆三教授の世話になることになった.MBA(Master of Business Administration:経営学修士)コースの正規の学生になることも検討されたが,タイミングや留学期間を当初1年しか与えられなかったことなど,諸般の事情で Visiting Scholar の道を選択した.結局,1997年7月から1999年3月まで NYU で学んだ.
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