プログレス
過食症と神経性食思不振症;摂食障害の分類をめぐって
河野 正明
1
1東海大学医学部精神科
pp.601
発行日 1988年9月15日
Published Date 1988/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104096
- 有料閲覧
- 文献概要
神経性食思不振症について1888年にGull WWが報告して以来,たくさんの摂食障害に関する研究がなされており,我が国においても,昭和30年代以後多くの研究が行われてきた.近年その症例数の増加と病像の多様化に伴って摂食障害の分類が問題となってきている.我が国には厚生省研究班による神経性食思不振症の診断基準があるが,過食症についての基準は無く,英国では,神経性食思不振症・神経性過食症・正常体重過食症といった分類が用いられている.また,同一の診断基準を用いても,症状・重症度・病態の異なった患者が含まれてしまう,という問題もある.ここでは昨年改訂されたDSM-III-R(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,Third Edition,Revision,1987)すなわち「アメリカ精神医学会による精神障害の診断と統計のためのマニュアル,第Ⅲ版改訂版」の中から,摂食障害の診断基準を紹介し,その改訂点とその意義について考えたい.
Copyright © 1988, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.