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特集 手すり
障害者・高齢者と住居の手すり―建築の立場から
Handrail: Handrail Design for the Handicapped at Home: From an Architectural Point of view
吉田 あこ
1
YOSHIDA Clara Ako
1
1筑波技術短期大学
1Department of Architectural Engineering Tsukuba College of Technology.
pp.346-351
発行日 1988年6月15日
Published Date 1988/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104037
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Ⅰ.手すりの歴史と文化
手すりとは何か.手の支えになるもの.何故手の支えが必要か.それは体幹を保持したいから.何故体幹を保つ必要があるのか.それは体がぐらついたとき転びそうになるから.何故転びやすいのか.それは二本足で立っているから,つまり,手を開放しようとして二本足で立つことを憶えたときから,そこに矛盾が生まれたのだ.手で物を採り,作り,料理し,口に運び,衣服を着て,家に住み,生きる.このすばらしい着想とその習得.これによって,動物たちと袂(たもと)を分かち,人間が万物の王者にまで進化したが,その歴史はわずか十数万年くらいにしかなってない.そこで二本足だけでは充分に体のバランスがとれない.特に高齢化してくるとこの無理が表面に出る.幼児期もそうだ.「生物はその一生の内に,長い進化の過程を再現する.」と言われる.人間の一生をみても同じで,二本足で直立歩行できる期間ばかりでないことに気が付く.
このように一生の最盛期であっても二本足の直立歩行はとかくバランスが悪く転倒,骨折,死亡の危険を有している.床が平らな場合なら尻もちくらいで済むことも多い.
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