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特集 Parkinson病
Parkinson病の最新知見
Parkinson's Disease: Current Topics of Parkinson's Disease
平井 俊策
1
Shunsaku HIRAI
1
1群馬大学医学部神経内科
1Department of Neurology, Gunma University School of Medicine.
pp.278-283
発行日 1988年5月15日
Published Date 1988/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518104016
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Ⅰ.初めに
Parkinson病は1817年に英国の開業医であったJames Parkinsonによってshaking palsy(振戦麻痺)という名称で最初に記載された錐体外路系の退行性神経疾患である.筋固縮,安静時振戦,運動減少症,姿勢反射異常などを主症状とすることは周知のとおりであり,これら主症状の多くはすでに原著において述べられている.病理学的には中脳黒質に病変の主座があり,ここにLewy小体と呼ばれる特有な構造物が出現し,黒質メラニン含有細胞が減少することが特徴である.このため黒質から線条体に至るドパミンを神経伝達物質とする経路が変性し,線条体においてアセチルコリン系が優位になることが上述のような錐体外路症状を発現させるものと考えられている.退行性神経疾患の中ではAlzheimer型痴呆に次いで多くみられるものであるが,代謝異常についてはもっとも解明の進んでいる変性疾患であり,このためL-ドパをはじめ治療薬も比較的多く開発されている.しかし本症の成因はまだ不明であり,現在行われている治療法もその進行をくい止めることができるようなものではない.近年その成因について新しい方面からのアプローチが行われ,また新しい治療法も試みられている.これら最近の知見の中からいくつかのものを取り上げて以下述べてみたい.
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