老人保健法と老人保健施設 5．「老人保健施設」の問題点と今後の課題

The Law of The Health and Medical Services for The Aged and Medical Nursing Facility. 5. Some Problems of "Health Institution for Elderly" and Forward Subjects on System of Welfare for The Aged

　Ⅰ．初めに

　1985年（昭和60年）1月，社会保障制度審議会から「老人福祉のあり方」の建議が出され，引続き厚生省内にこの建議を踏まえ医療・保健・福祉・学識経験者から成る「中間施設懇談会」を発足させ，約半年かけて中間報告が出された．その間にも個人・関係団体より意見・論文などが発表され，1年間は中間施設論で終始したほど，この中間施設は関係団体に大きな影響を与えたのである．

　いま我が国は年金・医療・福祉の各制度の改革が進められているが，その背景は人口の高齢化・核家族化・経済の低迷…国家財政の危機…社会構造の変化・ニーズの多様化などが考えられる．

　特に寿命の延長は，後期老年層の増加になり，必然的にねたきり老人・痴呆性老人など，医療や生活援助サービスを社会的に必要とするものが増加し，その応対は避けることのできない大きな課題となるわけである．