プログレス
超音波を利用した診断技術の開発
伊藤 邦臣
1
1自治医科大学整形外科
pp.259
発行日 1985年4月15日
Published Date 1985/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518103310
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最近の超音波を利用した診断技術の開発,進歩はめざましい.超音波が医学に導入された歴史をみると,1931年にR.Pohlmanが生体組織の超音波吸収量を測定しその端緒を開いた.1949年にK.Dussikは脳内疾患の診断に超音波を用い,臨床への応用に先鞭をつけた.この方法は組織により超音波吸収量に差があることを利用し,透過してきた超音波を受信して診断に応用したものである.その後パルス反射法の研究が始まり,本格的な実用化への道が開かれてきた.1960年代から1970年代にかけてAモード,Bモード,Mモードが開発され,さらに超音波パルスを受信するトランスデューサーの改良,送信,受信,映像技術の進歩により超音波診断法は日常の臨床に定着してきた.
そもそも超音波とはなにかというと,人間の可聴域を越えた20,000Hz以上の高い周波数を持つ疎密波を指す.このような音波は光に似た性質を持つようになり,鋭い指向性ビームになって組織を透過し,反射や屈折を起こす.超音波診断はこの性質を持つ1MHz~15MHzの高周波を用いているが,現在使用されている超音波診断装置の主流は送信したパルスが組織間の音響インピーダンス(音響抵抗)の差によって反射波(echo)を生じるため,その反射波を受信し映像化するものであり一般にエコー診断法と呼ばれてい.
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