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概要
British Journal of occupational Therapy第46巻(1983年)に掲載された論文を分類すると以下のようになる.まず,身体障害系では自助具の紹介などの論文を除いて,本誌の『講座』,『特集』や『紹介』の論文に相当するものが12,『研究と報告』の論文に相当するものが6,台計18である.内容別に示すと,「関節リウマチ」(1,2月号),「褥瘡」(2月号),「Frostig視知覚検査」(9月号),「筋電図・バイオフィードバックと作業療法」(11月号)といった総論やレビューが4つ,「片麻痺患者の安全運転のために」(11月号),「聾の理解のために」(12月号)といった解説的なものが2つ,「リハ・センターにおける作業療法の活動と目的」,「地域における老人への働きかけ」(3月号),「腰痛とマットとの関連」(5月号),「障害度の測定に関するADL評価の利用」(8月号),「CP児に対する電動タイプの効果的教授法」(9月号),「脳損傷のリハビリテーションにおけるチームの役割」(12月号)などの研究的なものが6つ,および,「中枢神経系の感覚・知覚評価」(1月号),「作業療法に対する老人の処方」(3月号),「頭部損傷のリハビリテーションにおける作業療法の機能評価について」(7月号),「都市および地方の老人デイケア施設における処方と治療の比較研究」(9月号),「握力・ピンチ力の研究」*(10月号),「ドシャンヌ型筋ジストロフイー児の両親の抱える諸問題」(12月号)などのリサーチ論文が6つあった.
また,自助具等の製作や紹介は数多く,主なものをあげても「弱視者のための書見台」(1月),「坐位不安定な子どものためのアクション・チェア」(2月号),「コーナ・シートの作製」(8月号),「車椅子移動板」(9月号),「障害児のための椅子」と「改良スプーン」(10月号),「関節炎患者のための吸入器」(11月号),「圧迫感のあるシャツを着たがらない子どものための衣服の工夫」(12月号)などがあり,また,各号に“OT Equipment News”という記事が1ページあり,楽しませてくれる.
次に,精神科系では,『講座』,『特集』や『紹介』に相当するものが15論文,『研究と報告』に相当するものが2論文,合計17論文となっており,全体として身体障害系の論文数とくらべて遜色のない数字になっており.精神科系の論文の多いことがBritish Journal of Occupational Therapyの一つの特徴ともなっている.内容からみてみると,「デイ・センターにおける社会化援助グループについて」(4月号),「行動療法入門」(5,6月号)「現在の経済状況における精神障害者のための職業前評価」(8月号)といった総論やレビューが4つ,「精神遅滞者の諸権利と責任」(6月号),「精神遅滞者における選択の自由」,「法精神医学と作業療法」(12月号)などの解説的なものが3つ,「臨場恐怖症患者の集団訓練」(2月号),「短期収容精神科施設における心理社会的評価」(3月号),「産業療法の新たな方向」*(5月号),「心理劇―アルコール中毒患者に対する治療的アプローチ―」(6月号),「外来患者に対する社会適応技能の訓練」,「うつの女性の治療における作業療法の中心的な役割」(9月号)などの研究的なものが7つ,および,「作業療法における行動変容の研究」(5月号),「デイケアにおける慢性分裂病者に対する作業療法の効果」(9月号)といったリサーチ論文が2つである.
精神科関係における特異的な論文は「知覚の変化―ある精神病者の手記―」(10月号)である.これは精神病の深みにはまって行くという体験,つまり,世界がどんどんと変化して行った過程とそこからの回復過程とを自己体験した作業療法士の体験録である.わずか2ページの論文というよりも随想といったほうが適切なものであるが,こうしたものが専門職の機関誌に掲載されるということは執筆者自身の決意とともに特筆すべきであろう.
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