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はじめに
この雑誌は,周知のようにJournal of The American Physical Therapy Associationの名が示すとおり米国理学療法協会の機関誌である.名称の変遷を経ながらも1983年で63巻である.
この雑誌の頁数は,本誌(理・作・療法)1983年版が,全868頁であるのに対し,全2126頁と相当な量である.質もまたそのようかと思う.平常時一号160頁程の約6割(100頁)が,協会活動関連の記事で埋められている.そして60頁前後の紙数に研究,実践,教育の3分野に分類された論文が掲載されている.
協会活動関連の記事は,昨年度のこの雑誌のまとめを行った上村氏(17巻8号,559~563頁)の述べるように現在の米国理学療法協会の動向を知る良い手掛りを与えてくれる.
当年の協会長所信も,咋年同様,理学療法士の養成方法の変革を強く意識して表明されており,理学療法士養成を修士課程でとの決定がもたらしている波紋を感じとることができる.教育の改善,改革こそは,専門職向上の方略であるとの意識は強い.
次に,この雑誌の主体を成す3分野に分けられた論文についてである.これは1982年より3分野に分類,掲載されるようになった.目次は見易く,筆者は教育が分離されているため文献の探索が容易で喜んでいる.
この部分に載せられた論文数は,1982年に較べ増加した.しかも理学療法の全ての分野に及んでいるとみて良いのではないだろうか.
研究,実践,教育の3分野に,どのような論文が掲載されたかは,年末号の索引をみれば一目でわかる.論文は,それぞれに付された4つ内外のキー・ワードから作成された28の項目にまとめられており,全体の傾向が,おおよそ把握できる.関連文献の検索に便宜が計られた索引である.
論文の主題は,理学療法の全分野に渡っているが,理学療法技術の動向という面から,筆者が,興味を持っている物理療法(physical agents)関連の論文は,昨年に比し数は増大したとは言え,電気治療9編,経皮的電気神経刺激法(以下TENS)5編,そして,超音波療法に関して1編と,運動療法関連の論文に比較して少ない.
この文の目的は,標題の如くであるが,その課題を満たす二次資料を提供することは,もとより筆者の能力と時間の許すところではない.二つの論説,そして電気治療・教育の動向を示す論文の要約をもって“まとめ”に替えさせていただく.
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