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Ⅰ.はじめに
1983年版AJOTについて,まずその全体を概観し,いくつか筆者の興味を持った論文を中心に紹介しながら感想を交えてまとめとしたい.
1983年版についても構成は例年と変りなく,Nationally Speaking,Features,Brief or New,Department等を中心にその他Book Review等が付されている.全12冊のうち第12号はArchival Issueの特集号で,他の11冊とは趣を異にしているが,米国におけるOT実践の哲理や教育の歴史を短期に概観するには有益であると思われる.また,第1号にはPortlandでの学会抄録が挿入されており,現在の米国のOT実践・研究の動向を知る上で役立つものと思われる.
さて,中心となっているFeaturesおよびBrief or Newは,前者は全52題(各号3ないし5題)である.後者は全部で11題であり,いずれも自助具や治療器具,スプリント等の紹介となっている.
Featuresについては,その観点によって色々な分類が可能であろうが,現在筆者がある教育の立場から分類すると以下のようになろう.
身体障害関係 11題
小児・発達障害関係 16題
精神障害関係 4題
ADL関係 4題
管理・運営関係 7題
教育関係 5題
その他(原理・研究法・活動分析) 5題
以上のようにADL関係を含め身体障害および小児・発達障害関係の論文を合計すると52題中31題と半数以上を占めているが,これに比して精神障害関係の論文は4題と1割にも満たない.内容的には,前年までしばらく中心を占めていた感覚統合療法関係の論文が8題と比較的少なくなっていることに注目される.身体障害関係では第3号がHand Issueとして特集されてはいるが,全体として見ると特にひとつの疾患・治療法に限定されず,多岐に渡った論文が掲載されているという印象を受ける.
以下に,上記の分類で原題と号数,簡単な紹介を行うことにする.ひとつの論文が2つ以上の分野に分類し得るものもあるが,類似論文を集めて列挙したので,より適切と思われる方に分類してあることを予めお断りしておく.
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