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Ⅰ.初めに
巻頭言,米国作業療法協会からのお知らせ,書評,主張などを除いたいわゆる論文は41巻には83件有った.その内訳は原著27件,総説21件,短報9件,調査報告14件,紹介8件,症例報告4件であった.以上の分類で原著の48%に当たる13件は修士課程卒業論文の一部を投稿されたものであった.AJOTは1980年代になってから,総説や主張の比重減少,原著論文の増加傾向が続いている.仮説に対して実験を行う方法が増加し,記述的な方法が減少する傾向も同様であった.
作業療法協会は作業療法基金を設置して研究の財政的援助を行っている.この基金から援助された研究は4件,その他の基金援助を受けた研究報告は7件有った.
作業療法協会の重点項目は次の二面に見いだせる.その一つは,研究の奨励と知見の発表である.巻頭言の1~8には作業療法にとって研究することがなぜたいせつなのかを繰り返し述べている.これは医療費削減政策に対抗し専門職の基礎を充実させようとするニーズから起こっているようである.もう一つの面は作業療法部門の生産性向上と管理運営の客観的分析の必要性である.5号は作業療法部門の管理運営の特集号になっている.
研究や論説で目だつ別の面は,作業遂行理論の枠組みでの論文が多いという印象を得た.これは作業療法の原点にたち帰り作業療法の独自性を再確認しようとする作業療法がいつも直面しているIdentity Crisisの延長線上の問題である.さらに医療の概念の拡大に伴い,作業療法が医療分野からHealth Care分野へサービスを拡げる方向を打ち出している.それを受けた形で学校における作業療法の役割の指針,Body Mechanics,ILでの作業療法,Community Careの作業療法などの報告で拡がりを示している.11号ではリハビリテーション工学の特集号を組み,特にハイテク技術と作業療法との関係を論じている.
次に各論文をBerelson((8)527-531)に示された内容の分類にほぼ従って分類した.以下に分類の定義を示した後に内容を要約して示す.( )内には号数とページを示した.
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