Japanese
English
特集 心身症
心身症患者への作業療法
Occupational Therapy for Psychosomatic Patients
内村 静子
1
Shizuko UCHIMURA
1
1九州大学医学部心療内科
1Department of Psychosomatic Medicine, Faculty of Medicine, Kyushu University.
pp.297-301
発行日 1983年5月15日
Published Date 1983/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518102849
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Ⅰ.はじめに
心身症については,かなり理解されてきたと思われるが,まださまざまに受け取られている現状もあるようである.心身症および心身医学の概念や定義などについては,別稿で述べられると思う.
心身症患者は,その特徴として身体的色彩の濃い対象疾患である.したがって作業療法(以下OTと略する)にあたっても,その患者の心理社会的な問題と身体症状の関連について,なるべくよく知って開始することが大切である.いわゆる心身相関のメカニズムの理解が,OT計画にある程度必要であり,評価の基本ともなるであろう.また神経症患者に比べ,発熱その他の身体的臨床症状の変化も大きいので,その把握も欠かせないものである.
Spackmanはつぎのように述べている.「作業療法士が治療対象とする種々なタイプの障害もしくはそれに起因する二次的症状は,ある種の特別な知識,特別な注意および精神身体医学の,ある程度の理解を必要とする」と.いりまでもなくすでに各分野のOTで,併発群を含めて,経験されているのではないかと思う.心身症患者に対しては,前に触れたように心身両面からのアプローチ,あるいは総合的接近が必要になってくる.本稿ではそのことを踏まえた上で,疾患の性質上心理的OTを中心にした心身症患者へのOTについて,筆者の経験を加えながら述べたい.
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